教育資金はいくら必要?大学卒業までにかかる費用と準備方法を徹底解説

教育資金はいくら必要?大学卒業までにかかる費用と準備方法を徹底解説

子どもには将来の選択肢を広く持ち、自由に進路を決めてほしいと願う親は多いものです。

しかし現実には、教育資金をどの程度確保しておけば安心なのか分からないと悩む親は多いでしょう。

特に、大学卒業までは面倒を見たいと考えている場合、多額の費用がかかるので早めに教育資金について考え、準備を始める必要性が高くなります。

進学先が私立か公立か、理系か文系かによっても負担額は大きく変わるため、早めに教育資金の計画を立てておくことが将来の安心につながります。

本記事では、子どもが大学を卒業するまでに必要な教育資金の目安額や準備方法について解説します。

資金不足の際に活用できる制度についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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監修者の紹介
経歴・プロフィール
東京理科大学理学部卒業。2003年、30歳で半導体製造装置大手企業を早期退職し、株式専業トレーダーに転身。これまでに年間最高売買代金350億円超、月間最高利益2414万円を達成。水野総合FP事務所代表。独立系ファイナンシャルプランナーとして個別相談、執筆・監修、講師、取材協力などマルチに活動。ライフプラン、資産運用、相続・資産承継といった幅広い相談内容に対応し、全国1000名を超える方から日本FP協会に寄せられる「くらしとお金」の電話相談を1年間担当。
水野崇

教育資金はいくら必要?子どもの大学卒業までの平均額

教育資金がいくら必要になるかを知るうえで、まず把握しておきたいのが教育資金の範囲です。

教育資金とは、文字どおり子どもの教育に関する費用のことですが、文部科学省では「学校教育費」「学校給食費」「学校外活動費」の3区分に大別しています。

区分概要主な項目
学校教育費学校教育のために各家庭が支出した全経費授業料、修学旅行費、生徒会費、教科書費、通学費、制服、通学用品費など
学校給食費幼稚園〜中学校において給食費として徴収した経費給食費
学校外活動費補助学習費及びその他の学校外活動費学習塾・家庭教師・体験活動・習い事など

参照:文部科学省「子供の学習費調査 用語の解説

以下に紹介する教育資金(学習費)は、これらにかかる費用の合計額を指しています。

幼稚園でかかる教育資金

幼稚園でかかる教育資金は公立・私立で大きく異なり、下表のようになっています。

公立私立
3歳約15.0万円約33.5万円
4歳約16.7万円約32.4万円
5歳約21.6万円約37.9万円
3年間の合計額目安約53.3万円約103.8万円

参照:文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査 調査結果の概要

私立に通った際の3年間の合計額目安は100万円超であり、公立の約1.9倍の費用です。

なお、2019年10月からは「幼児教育・保育の無償化」がスタートし、3歳以降の授業料は一定額まで無償となりましたが、給食費や教材費、行事費、通学費などは依然として自己負担です。

私立では授業料以外の費用が公立よりも高い傾向にあるため、結果として教育資金に大きな差が出ています。

小学校でかかる教育資金

小学校の教育資金は保育園・幼稚園以上に公立・私立の差が大きく、6年間の総額で私立は公立の約5.4倍もの金額です。

公立私立
1年生約39.8万円約220.3万円
2年生約26.8万円約162.8万円
3年生約29.5万円約177.2万円
4年生約30.5万円約168.3万円
5年生約35.4万円約178.2万円
6年生約39.6万円約190.6万円
6年間の合計額目安約201.6万円約1,097.4万円

参照:文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査 調査結果の概要

公立は年間約30万円の費用が6年間続くのに対し、私立小学校は毎年160〜220万前後の費用がかかっています。

小学校は義務教育なので公立では授業料が無償である一方、私立では有償となり学校教育費の約50%を占めている点が、金額差に大きく影響しています。

また、公立・私立を問わず学習塾・習い事などの学校外活動費にも一定の費用がかかっており、教育の幅が広がる分だけ支出も増加する傾向です。

※:文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」参照

中学校でかかる教育資金

中学校の教育資金も小学校と同様に公立・私立での差が大きいのが特徴です。

公立私立
1年生約54.5万円約187.0万円
2年生約47.4万円約128.2万円
3年生約60.7万円約152.0万円
3年間の合計額目安約162.6万円約467.2万円

参照:文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査 調査結果の概要

中学校も義務教育年代にあたるため、公立は授業料が無償となっている点が、私立との金額差に反映されています。

ただし、公立においても高校受験を見据えてか、学校外活動費の中でも補助学習(学習塾・家庭教師など)にかける費用が増えており、3年生の場合は年間約38.9万円です。

子どもを公立に通わせることで教育資金の総額は抑えられますが、補助学習費を多めに準備して高校受験に備えておくと安心です。

※:文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査 調査結果の概要

高校でかかる教育資金

高校の教育資金は、小学校・中学校ほど公立・私立での金額差は大きくありませんが、公立に通う場合でも年間50万円超と、教育資金の総額が大幅に増えているのが特徴です。

公立(全日制)私立(全日制)
1年生約70.0万円約127.4万円
2年生約58.2万円約97.9万円
3年生約50.5万円約82.4万円
3年間の合計額目安約178.7万円約307.7万円

参照:文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査 調査結果の概要

高校の授業料を支援してくれる「高等学校等就学支援金制度」もあってか、公立・私立間での授業料の差は小・中学校よりも減少しています。

授業料負担は軽減されている一方で、公立は小・中学校よりも通学費が増加している点も注目です。

注意点
小・中学校は徒歩圏内の家庭も一般的ですが、高校になると通学エリアが拡大し、通学費を要するケースも珍しくありません。

加えて、補助活動費については私立よりも公立生徒の方が負担が大きいです。大学受験のための予備校や入試にも一定の費用がかかることは覚えておきましょう。

※:文部科学省「高等学校等就学支援金制度」参照

大学でかかる教育資金

大学でかかる教育資金は、国公立・私立の違いに加え、私立の中でも文系学部か理系学部かで異なります。

国公立私立文系私立理系
入学金約67.2万円約81.8万円約88.8万円
4年間の在学費用約414.0万円約608.0万円約732.8万円
合計額目安約481.2万円約689.8万円約821.6万円

参照:日本政策金融公庫「令和3年度 教育費負担の実態調査結果

在学費用とは、授業料のほか教科書代や大学の施設設備費、通学費など在学にかかる費用の総額のことです。

ポイント
国公立なら学部による違いはありませんが、私立大学の場合は理系学部の方が4年間で100万円以上高くなることが見込まれます。

また、地方出身者が都市部の大学に通う場合は1人暮らしの費用も必要です。その際に仕送りを考えているなら、費用はより増加することは把握しておきましょう。

大学の教育資金は進路選択によって大きく変わるため、子どもと進路について早めに話し合い対策しておくことが大切です。

教育資金を計画的に準備する方法

教育資金を計画的に準備するには、主に以下のような方法があります。

教育資金を計画的に準備する方法
  • 預貯金
  • 資産運用
  • 学資保険

預貯金

預貯金は、元本が減らない安心感を重視した堅実に教育資金を準備する方法の1つです。収入の一部を教育資金として貯蓄に回し、残った金額で生活をやり繰りすることで無理なく教育資金を貯めていけるでしょう。

ポイント
収入から貯蓄に回す余裕がない場合でも、児童手当を教育資金に充てるだけで18年間(子どもの高校卒業時点)で約230万円を貯蓄できます。

230万円あれば、子どもの大学進学時の初期費用としては充分な金額といえるでしょう。

子ども1人あたりに対して受け取れる児童手当の金額
出生〜3歳未満まで

(支給額:毎月1.5万円※1/人)

54万円

(1.5万円×12ヶ月×3年間)

3歳〜高校卒業まで

(支給額:毎月1万円※1/人)

180万円

(1万円×12ヶ月×15年間)

合計額約234万円※2

※1:第3子以降は3万円
※2:高校卒業の3月まで支給対象のため、誕生月により総額は異なる
参照:こども家庭庁「児童手当制度のご案内」「もっと子育て応援!児童手当

また、預貯金は元本保証があるため、引き出さない限りは資産が減らない点もメリットです。

一方で、預貯金には利子がほぼなく、物価上昇による実質価値の目減りリスクがある点には注意してください。

資産運用

教育資金を効率的に増やすには、NISA(少額投資非課税制度)などの制度を活用して資産運用するのが有効です。

ポイント
金利がほとんどない預貯金と異なり、運用成績によっては元本に加えて運用益も教育資金に加えられます。さらに、NISAであれば運用益は非課税のため、より効率的に教育資金を準備できるでしょう。

ただし、資産運用には市場変動による元本割れリスクが伴うため、運用は余裕資金で行うのが基本です。

元本保証のある預貯金と組み合わせて行い、リスクとリターンのバランスを取ることが望ましいでしょう。

学資保険

学資保険は、教育資金を貯めるための保険商品であり、貯蓄と保障を兼ね備えているのが特徴です。保険期間中に一定の保険料を支払うことで、子どもの進学時に合わせて満期金や祝い金を受け取ることができます。

ポイント
契約者(親)に万が一のことがあった場合は、以後の保険料支払いが免除される「払込免除特約」が付帯しているのが一般的。払込を免除されても保険金は受け取れるので、教育資金を残せるという安心感は強いでしょう。

ただし、途中解約すると元本割れリスクが高まるため、家計に無理のない保険料で契約することが大切です。

教育資金が足りない時に検討したい制度

教育資金が足りない時に検討したい制度は、主に以下の通りです。

教育資金が足りない時に検討したい制度
  • 奨学金制度
  • 教育一般貸付(国の教育ローン)

奨学金制度

奨学金制度は、教育費の不足分を一時的に補うための支援制度です。経済的な理由で進学を諦めないために設けられており、広く知れ渡っているものとして日本学生支援機構(JASSO)が提供する奨学金制度があります。

ポイント
JASSOの奨学金制度は、返済不要の「給付型」と卒業後に返済が必要な「貸与型」があり、申請基準は世帯収入や学業成績で異なります。

貸与型の場合でも、卒業後から返済開始になるのが原則なので、在学中は教育資金の負担を軽減できるのが特徴です。ただし、貸与額によっては返済期間が10年以上に及ぶケースもあるため、借入額を慎重に設定することが重要です。

なお、JASSOだけでなく地方自治体や民間企業による独自の奨学金制度もあり、複数の奨学金制度を併用することもできます。

教育一般貸付(国の教育ローン)

教育一般貸付(国の教育ローン)は、日本政策金融公庫による公的な教育ローンです。

ポイント
利率は年3.15%※1の固定金利で民間の教育ローンより低めで、在学中の子ども1人あたり350万円※2まで借入できます。

使途は入学金・授業料だけでなく、定期代(交通費)やPC購入費など多岐に渡るうえ、JASSOの奨学金との併用もできる柔軟性も魅力です。

子ども2人の家庭の場合、世帯年収890万円以下であれば申込できるので、幅広い家庭で利用しやすい制度といえるでしょう。

※1:2025年9月時点
※2:一定要件に該当する場合は子ども1人につき上限450万円まで借入可能
参照:日本政策金融公庫「教育一般貸付(国の教育ローン)

まとめ

本記事では、子どもの大学卒業までに必要な教育資金や計画的な準備方法について解説してきました。

子どもの教育資金は公立・私立のどちらに通わせるかで大きく変わるものの、大学卒業までを考えるなら早めに備えておく必要性が高いです。

教育資金の主な準備方法としては預貯金・資産運用・学資保険などが挙げられ、それぞれにメリットがあります。家計状況を加味したうえで、無理なく貯められる方法を選びましょう。

教育資金の全てを自力でまかなうことが難しい場合は、奨学金制度や教育ローンなども視野に入れておくと、経済的な理由で子どもの進路を狭める可能性を軽減できます。

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