糖尿病の合併症とは？予防する方法も解説

糖尿病が進行すると、合併症を引き起こすことがあります。初期段階では自覚症状が出にくい合併症もあるため、体調の変化について注意深く観察することが重要です。

本記事では、糖尿病が引き起こす合併症と予防する方法についてご紹介します。

糖尿病が引き起こす三大合併症とは？

糖尿病が進行すると、血管がもろくなり、それが原因でさまざまな合併症を引き起こします。自覚症状がなくても、知らないうちに合併症が進行していることもあるため注意が必要です。

特に、神経・網膜・腎臓は糖尿病による障害が起こりやすく、三大合併症と呼ばれています。三大合併症それぞれの特徴や症状は以下のとおりです。

糖尿病神経障害

糖尿病神経障害とは、高血糖によって痛みなどを感じる感覚神経、内臓の働きを調整する自律神経、手足を動かす運動神経といった末梢神経に障害が生じるものです。

具体的な症状としては、手足の神経に異常が生じることで、手の指、足の先や裏などに痛みやしびれといった感覚異常があらわれます。また、手足だけでなく下痢や便秘、味覚障害、頻脈（ひんみゃく）や徐脈（じょみゃく）、顔面神経麻痺、汗をかきにくいといった全身の症状がみられることもあります。

痛みが慢性化したり、感覚が鈍くなったりすると、ケガや火傷などに気付かずに足壊疽（あしえそ）を起こすこともあるため注意が必要です。

糖尿病網膜症

目の網膜に起こる障害で、網膜に広がっている毛細血管が閉塞して血流が悪くなる病気です。

初期の段階では網膜の毛細血管の一部が傷ついて出血したりしますが、網膜症が進行すると失明の原因にもなります。実際、多くの方が糖尿病網膜症で視力を失っていると報告されています。

糖尿病網膜症は初期の段階では自覚症状がなく、気付かないうちに症状が進行していくことが多いです。血糖コントロールを行いつつ、症状がなくても定期的に眼底検査を受けることが予防として役立ちます。

糖尿病腎症

腎臓には毛細血管が集まっていますが、高血糖が続くことで腎臓の毛細血管がもろくなり、蝕まれていく合併症が糖尿病腎症です。

初期にはごくわずかなたんぱくが尿中にみられるだけで、特に自覚症状がありません。しかし、進行すると体内の余分な水分や老廃物を尿として体外に排泄する腎臓の機能が失われるため、人工透析が必要となります。

糖尿病腎症の予防には、血糖コントロールを継続しつつ、自覚症状がなくても定期的に腎臓の機能の検査をすることが大切です。

その他の糖尿病が引き起こしやすい合併症

糖尿病を患っている方が引き起こしやすいのは三大合併症だけではありません。

三大合併症は細い血管が傷ついて起こる疾患ですが、太い血管が傷つくことで引き起こされる以下のような合併症もあります。

・心筋梗塞
・狭心症
・脳卒中
・脳梗塞
・閉塞（へいそく）性動脈硬化症
・動脈硬化
・高血圧

特に動脈硬化は進行しやすいといわれており、それによって心筋梗塞や狭心症、脳卒中といった病気が引き起こされます。

また、閉塞性動脈硬化症（主に手足の動脈に動脈硬化が起こる）になり重症化すると、手足が潰瘍、壊死に至り、切断しなければならないこともあるため注意が必要です。

これらの合併症のほかに、糖尿病は以下のような感染症を引き起こすこともあります。

・歯周病
・肺炎
・皮膚炎　など

糖尿病の合併症を予防するためには？

糖尿病の合併症を予防するには、糖尿病自体の進行を遅らせるために、しっかりと治療することが大切です。

高血糖状態が続くと、全身の血管にダメージが生じ、さまざまな合併症を発症するリスクが高くなります。

糖尿病の進行を遅らせ、また合併症を予防するために、血糖コントロールを行いましょう。

血糖コントロールには、医師の指示による薬を使った治療のほか、定期的に運動し、食事に気を付けるといった生活習慣の改善が役立ちます。

まとめ

糖尿病はさまざまな合併症を引き起こしやすい病気です。合併症の多くは、初期段階では自覚症状がなく、知らないうちに進行していることもあります。

特に、本記事で紹介した三大合併症は糖尿病が進行すると起こりやすいので、異常がないか定期的に検査しておくと良いでしょう。加えて、血糖コントロールを行うことが糖尿病の進行を遅らせ、合併症の発症リスクを下げるのに役立ちます。