うつ病は就業不能保険の対象?注意点や公的保障の活用法を解説

うつ病は就業不能保険の対象?注意点や公的保障の活用法を解説

就業不能保険は、所定の就業不能状態に陥った際の収入減に備えられる保険です。病気やケガによる休業中も、一定期間にわたり給付金を受け取れるため、生活の備えにつながります。

ただし、うつ病などの精神疾患については、症状の客観的な判断が難しい側面があり、身体の病気とは異なる扱いがされるケースもあります。

そのため、内容を十分に理解しないまま加入すると、想定していた保障を受けられない可能性も否定できません。

そこで本記事では、うつ病になるリスクや就業不能保険で備える注意点について解説します。

うつ病の際に活用できる公的保障についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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監修者の紹介
経歴・プロフィール
東京理科大学理学部卒業。2003年、30歳で半導体製造装置大手企業を早期退職し、株式専業トレーダーに転身。これまでに年間最高売買代金350億円超、月間最高利益2414万円を達成。水野総合FP事務所代表。独立系ファイナンシャルプランナーとして個別相談、執筆・監修、講師、取材協力などマルチに活動。ライフプラン、資産運用、相続・資産承継といった幅広い相談内容に対応し、全国1000名を超える方から日本FP協会に寄せられる「くらしとお金」の電話相談を1年間担当。
水野崇

うつ病で就業不能になるリスク

うつ病などの精神疾患が原因で働けなくなるリスクは、現役世代にとって珍しいことではなく、誰にとっても現実的に起こり得る問題です。

全国健康保険協会のデータによると、傷病手当金の受給原因としては、うつ病などの「精神及び行動の障害」が39.15%※1を占めており、最も高い割合です。

中でも、20代・30代の年齢帯では受給原因の50%※2を超えており、若年層ほど精神疾患による休業リスクが高いことが推察できます。

また、精神疾患により入院した場合の在院日数は下表のとおりで、他の疾病と比べて長期化する傾向です。

主な疾病平均在院日数※3(全年齢)
統合失調症等569.5日
気分(感情)障害※4118.2日
悪性新生物(がん)※5約14日
心疾患18.3日
骨折35.4日

参照:生命保険文化センター「入院した場合、入院日数は何日くらい?

発症リスクや治療の長期化の可能性を考慮すると、現役世代は公的保障や民間の就業不能保険などを駆使して備える必要性が高いといえるでしょう。

※1,※2:全国健康保険協会「令和6年度 現金給付受給者状況調査報告」を参照
※3:2023年9月に退院した人を対象
※4:躁うつ病を含む
※5:対象部位は胃、結腸、直腸、肝・肝内胆管、気管、気管支、肺

うつ病(精神疾患)は就業不能保険で保障される?

うつ病などの精神疾患で働けなくなったとき、経済的困窮を防ぐうえで検討したいのが就業不能保険です。

ポイント
就業不能保険とは、保険会社が定める就業不能状態と認められた場合に、一定期間にわたり給付金を受け取れる民間保険のことです。

ただし、うつ病などの精神疾患は身体疾患と比べて症状の客観的判断が難しいことから、保障条件が厳しい商品が多数あります。

うつ病を患った際に、就業不能保険の保障対象になりやすい・なりにくいと考えられるケースを把握しておくことが大切です。

うつ病が原因の入院は保障対象のケースがある

医師の指示により入院をした場合は、就業不能保険の保障対象になりやすいと考えられます。

ポイント
入院中は就労が困難な状態であることを客観的に示しやすく、保険会社が給付判断を行う目安になります。

ただし、免責期間が設けられている点を踏まえると、短期間の入院では給付金が支払われにくいことは把握しておきましょう。

退院後の通院期間が保障対象になるかは商品により異なるものの、いずれにせよ入院実績があることが重要になります。

在宅療養(入院なし)は保障されにくい

入院を伴わない在宅療養のみの精神疾患の場合、給付金を受けるハードルは高くなる可能性があります。

注意点
精神疾患は症状の重さや就労不能の程度を数値化しにくく、客観的な判断が難しい病気です。加えて、回復具合を判定することは難しいため、一度給付を開始してしまうと給付金停止の判断をしにくく、保険会社側のリスクも高まります。

こうした要因から、精神疾患は入院時のみを対象とし、在宅療養は保障対象外とする商品も多いです。ただし、中には医師の診断書がある場合に限り、在宅療養であっても保障対象となる商品も存在します。

保険商品ごとで保障対象とする基準は異なるため、契約前に精神疾患の支払条件を確認することが重要です。

就業不能保険でうつ病に備える際の注意点

就業不能保険でうつ病に備える際の注意点には、以下のようなものがあります。

就業不能保険でうつ病に備える際の注意点
  • 精神疾患による保障条件を確認する
  • 免責期間(待機期間)を確認する
  • 保険料と保障のバランスを考慮する
  • 利用できる公的保障を把握しておく

精神疾患による保障条件を確認する

就業不能保険では、精神疾患に関する保障内容が商品ごとに大きく異なるため、保障される条件をしっかりと把握することが大切です。

注意点
保障内容がはっきりしない場合、実際にうつ病を発症して就業不能になった際、想定していた保障が受けられない可能性があります。

精神疾患が保障されるかだけでなく、入院の必要性や給付金の支払い回数制限など、細かく条件をチェックしましょう。

免責期間(待機期間)を確認する

就業不能保険には、発症から給付開始までの免責期間(待機期間)が設定されるのが基本です。

免責期間中は就業不能状態であっても給付金は支払われないので、休業状態が短期間であれば保障対象にはなりにくい点には注意しましょう。

ポイント
免責期間の長さは商品により異なりますが、発症から60日〜180日ほどが一般的です。

免責期間が短い方が給付金を受け取れる可能性が上がりますが、保険料は高くなるのが一般的です。

うつ病などの精神疾患は給付金の支払い回数に上限を設定するケースが多いため、受給開始までの期間が短くても受け取れる保険金が多くなるとは限りません。

精神疾患の治療は長期化しやすい側面もあるため、免責期間が短い方が良いとは必ずしも断定できないでしょう。

保険料と保障のバランスを考慮する

うつ病以外にも死亡・入院・介護・老後資金など様々な生活上のリスクが存在します。

注意点
うつ病への備えに保険料をかけすぎてしまうと、医療保障や死亡保障などの重要な保障が不足したり、日常生活の支出を圧迫したりするかもしれません。

就業不能保険はあくまで保障全体の一部であることを理解し、他の保険や貯蓄と組み合わせて考えることが大切です。

家計の収支や将来設計を整理したうえで、過度な保険料負担にならないよう保障とコストのバランスを意識することで、長期的に無理なく保障を維持できます。

利用できる公的保障を把握しておく

うつ病を発症した場合、傷病手当金や障害年金などの公的保障制度を利用して経済的負担を軽減することができます。

ポイント
就業不能保険だけに頼るのではなく、公的保障を活用することで必要以上に保障を確保せずに済むため、保険料の負担軽減にもつながります。

ただし、公的保障を利用するには、各自治体などで自ら手続きをすることが前提です。そもそも利用できる制度を知らない場合には恩恵を受けられないので、精神疾患時に使える公的保障の種類は理解しておきましょう。

うつ病の人が利用できる主な公的保障

うつ病の人が利用できる主な公的保障には、以下のようなものがあります。

うつ病の人が利用できる主な公的保障
  • 傷病手当金
  • 労災保険
  • 障害年金
  • 生活保護
  • 自立支援医療制度

傷病手当金

傷病手当金とは、病気やケガで働けなくなった場合に、給与の約3分の2が支給される健康保険の制度のことです。うつ病での休職も対象となり、支給を受けられる条件は以下のとおりです。

支給対象者健康保険の加入者
支給開始の条件病気・ケガによる休業が3日間連続した場合に、4日目の休業から支給
支給額
(1日あたり)
支給開始前1年間の平均給与額÷30日(2/3)
支給期間支給開始から通算1年6ヶ月

参照:全国健康保険協会「傷病手当金

健康保険に加入している会社員・公務員にとって、傷病手当金は生活費を補う基本的な公的保障です。

注意点
国民健康保険には傷病手当金のような制度はないため、自営業者や個人事業主は原則対象外となります。

また、会社員・公務員であっても、一定の休業補償を受けているケースでは、傷病手当金が調整(支給対象外あるいは減額)されることには注意しましょう。

※休業中に給与受取、障害厚生年金の受取、老齢退職年金の受取、労災保険から休業補償給付の受取などが該当

労災保険

労災保険は、業務や通勤が原因で負った病気やケガに対する公的保障制度です。うつ病などの精神疾患についても、業務による強い心理的負荷(ストレス)が原因と認められた場合には労災保険の対象になる可能性があります。

業務上のストレスが強いと認められうる主な例
  • 過度な長時間労働
  • 同僚や上司などからのハラスメント(パワハラ・セクハラ・モラハラなど)
  • 役割を逸脱した過重な業務責任

労災認定を受けると、「療養給付」により治療費が全額補償され、「休業給付」として給与の約8割相当が支給。また、症状が固定した後に就労困難な状態が続く場合は「障害給付」の対象になることもあり、長期の収入保障につながります。

労災保険は、正社員に限らずパート・アルバイトなど非正規雇用の方々も対象です。フリーランスは原則対象外ですが、企業からの業務委託の実態や指揮命令関係の有無によっては、労災と認められるケースもあります。

労災認定を受けられるかは業務が原因で発症したかが重要のため、発症理由が判断しにくい精神疾患は、労災認定を受けられないケースもあることは理解しておきましょう。

参照:厚生労働省「労災補償

障害年金

障害年金は、病気やケガによって日常生活や仕事に支障が生じる場合に支給される年金制度です。

ポイント
支給要件を満たせば現役世代でも受給することができ、うつ病も対象となります。

障害年金は症状の程度によって1〜3級の障害等級の認定を受け、等級に応じて支給額が変動します。うつ病の障害年金の認定基準は以下のとおりです。

等級障害の状態
1級高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの
2級気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの
3級気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したり又は繰り返し、労働が制限を受けるもの

出典:日本年金機構「障害判定基準 精神の障害

なお、3級は障害厚生年金のみ該当となるため、国民年金加入者は1級または2級に該当することが受給のための条件です。

生活保護

生活保護は、収入・資産・他制度や親族などによる支援では、健康で文化的な最低限度の生活を維持できない人に対して必要な保護を行う制度です。

ポイント
うつ病により就労が困難となり、他の保障制度などでは生活が成り立たない場合も利用することができます。

生活保護を認定された場合は、以下のような援助を受けられます。

生活保護による主な援助
  • 生活扶助(食費・被服費・光熱水費など)
  • 住宅扶助(家賃など)
  • 医療扶助・介護扶助(医療・介護サービスの自己負担なし)

具体的な支給額は居住地や世帯人数、就労状況などにより異なり、東京23区内の単身者で就労していない場合で月額約13万円(生活扶助・住宅扶助の合計額)です。

生活保護と認定されるには、資産状況や扶養義務者の有無など厳格な審査がありますが、うつ病で働けない人にとっては、最終的なセーフティーネットとして活用できます。

参照:厚生労働省「生活保護制度

自立支援医療制度

自立支援医療制度は、障害の治療にかかる医療費の自己負担を軽減する制度です。

うつ病は「精神通院治療」の対象のため、通院による継続的な治療が必要と判断されれば、指定医療機関での診療費の自己負担額が原則1割に軽減されます。

うつ病は通院治療が長期化しやすいので、医療費の負担軽減は治療継続の大きな支えとなるでしょう。この制度を活用することで、家計への影響を抑えながら安定した治療を続けることが可能です。

※低所得世帯は負担額が1割未満となり、一定所得以上(年収約833万円以上)の世帯は制度の対象外。厚生労働省「自立支援医療の患者負担の基本的な枠組み」参照

まとめ

本記事では、うつ病で働けなくなるリスクや、就業不能保険で保障されるケース、うつ病の際に活用できる主な公的保障などを解説しました。

若年層を中心に一定割合が、うつ病などの精神疾患が原因で就業不能に陥っています。うつ病の治療は長期化しやすいため、休業した場合に生活が困窮しないよう備えておくことが大切です。

うつ病により入院した場合は、就業不能保険で保障されるケースがあります。加入しておくと、活用できる公的保障と併せて、精神疾患に対して手厚く備えることが可能です。

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