国民年金基金に入ってはいけないと言われる理由は?メリットも解説

国民年金基金に入ってはいけないと言われる理由は?メリットも解説

自営業者やフリーランスの方々の中には、将来受け取る年金額を増やすために国民年金基金への加入を考えている人もいるでしょう。

ところが、一部では「国民年金基金に入ってはいけない」といった意見もあり、加入するかを躊躇している人もいるかもしれません。

そこで本記事では、国民年金基金の仕組みや入ってはいけないと言われる理由、加入するメリット、何年で元が取れるかの損益分岐点を紹介します。

老後資金の備えとして国民年金基金を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
この記事の要点
  • 国民年金基金は自営業・フリーランス向けの任意年金制度
  • 掛金全額が社会保険料控除の対象で、節税効果がある
  • iDeCoや付加年金との併用に制限がある点も注意
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    監修者の紹介
    経歴・プロフィール
    東京理科大学理学部卒業。2003年、30歳で半導体製造装置大手企業を早期退職し、株式専業トレーダーに転身。これまでに年間最高売買代金350億円超、月間最高利益2414万円を達成。水野総合FP事務所代表。独立系ファイナンシャルプランナーとして個別相談、執筆・監修、講師、取材協力などマルチに活動。ライフプラン、資産運用、相続・資産承継といった幅広い相談内容に対応し、全国1000名を超える方から日本FP協会に寄せられる「くらしとお金」の電話相談を1年間担当。
    水野崇

    国民年金基金とは?

    国民年金基金とは、自営業者やフリーランスなどの国民年金の第1号被保険者が、自分自身で将来の年金を増やすために任意加入できる制度です。

    ポイント
    第1号被保険者は厚生年金に加入できないため、原則として老齢基礎年金(満額で月額69,308円)のみが老後の収入になります。

    将来の物価上昇や生活費の増加を考慮すると、老齢基礎年金だけでは老後資金に不安を覚える人も多いでしょう。

    国民年金基金に加入することで、老齢基礎年金だけでは不足しがちな老後資金に備えることができます。

    ※:2025年度時点における68歳以下(1956年4月2日以降生)の場合。(日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」参照)

    国民年金基金に入ってはいけないと言われる理由

    国民年金基金は老後の備えとして活用される制度ですが、一部では「入ってはいけない」との声もあります。主なデメリットを解説するので、加入前に理解しておくことが大切です。

    任意での中途解約ができないから

    国民年金基金にいったん加入すると、原則として自らの意思による途中解約はできない仕組みです。2口目以降の口数は任意で減らせるものの、1口目に関しては継続して掛金を支払う必要があります。

    注意点
    脱退できるのは「国民年金の第1号被保険者でなくなる」「加入者本人が死亡」など加入資格を失ったときに限られます。

    経済状況に応じて、加入者自身が解約の判断ができない点はデメリットでしょう。

    このように、経済的な余裕がなくなった場合の柔軟性に欠けることから、国民年金基金には入らない方が良いと考える人もいます。

    払込の一時中断をすると年金受取額が減額する

    やむを得ず掛金を払えない場合、払い込みを一時中断することは可能です。ただし、その間の未納期間に応じて将来の年金受取額が減額されてしまいます。

    短期間の一時中断だけなら問題ありませんが、継続的な支払いが困難な人にとっては、受け取る年金額も期待しにくいことから向いていない制度かもしれません。

    インフレに対応しにくいから

    国民年金基金は加入時に年金の受取額があらかじめ決まっているため、インフレ(継続的な物価上昇)に弱いという欠点があります。長期的にインフレが続くと受け取る年金の実質価値が目減りするため、想定よりも少ない年金額となるでしょう。

    注意点
    仮にインフレ率が年2%で20年続いたとき、単純計算で資金価値は約30%減少します。

    近年では物価上昇が著しいため、インフレに対応しにくい国民年金基金では老後資金の準備としては心許ないと考える人もいます。

    他の制度との併用に制限があるから

    国民年金基金は、他の年金制度との併用に一定の制限があるため、加入しない方が良いという意見もあります。

    特に、iDeCo(個人型確定拠出年金)と付加年金を活用する人は注意が必要です。

    制度国民年金基金との併用制限
    iDeCo併用可能だが、上限は合算で月6.8万円
    付加年金併用不可

    iDeCoは国民年金基金と併用できるものの、掛金の合計上限が月額6.8万円に制限されています。iDeCo単体の掛金上限も月額6.8万円のため、上限いっぱいまでiDeCoを使いたい人は国民年金基金との併用が実質不可能です。

    注意点
    付加年金との併用は一切できないため、付加年金を活用したい人は国民年金基金への加入はできません。

    先述したように、国民年金基金は任意で解約できないため、先に加入してしまうと他の制度の活用に制限が出てきます

    他の制度と比較してから加入の可否を判断することが大切です。

    参照:全国国民年金基金「国民年金基金とiDeCoとの違い」、厚生労働省「国民年金基金制度

    国民年金基金に入るメリット

    「入ってはいけない」と言われることもある国民年金基金ですが、決してデメリットばかりではありません。ここでは、国民年金基金に加入する主なメリットについて解説します。

    堅実に老後資金を備えられる

    国民年金基金は、加入年齢や選択するタイプ・口数に応じて受け取れる年金額があらかじめ決まっています。

    ポイント
    市場の価格変動などによるリスクがないので、元本割れリスクを避けて安定性重視で老後資金を準備したい人には向いている制度です。

    また、終身年金タイプを少なくとも1口は含むため、一生涯にわたって年金を受け取れるのも魅力的。国民年金(老齢基礎年金)に加えて年金の受取額を増やすことで、老後の生活設計を立てやすくなるでしょう。

    国民年金基金の年金タイプ

    国民年金基金では計7種類の年金タイプが用意されており、ライフスタイルや将来設計に応じてニーズに合うものを選択できます。

    タイプ支給期間保証期間
    終身年金A型65歳から一生涯15年間
    終身年金B型なし
    確定年金Ⅰ型65〜80歳15年間
    確定年金Ⅱ型65〜75歳10年間
    確定年金Ⅲ型15年間
    確定年金Ⅳ型60〜70歳10年間
    確定年金Ⅴ型60〜65歳5年間

    参照:全国国民年金基金「国民年金基金とは

    1口目に関しては、終身年金A型またはB型のいずれかを選ぶ必要がありますが、2口目以降は7種類から自由に組み合わせることが可能です。

    税負担が軽減される

    国民年金基金は、掛金全額が「社会保険料控除」の対象です。より多くの掛金を支払うほど課税所得を減少でき、所得税・住民税の負担軽減につながります。

    ポイント
    配偶者などの掛金を負担した場合は、その負担分も所得控除の対象です。

    同じく掛金全額が所得控除となるiDeCoの場合、本人分しか控除対象になりません。

    所得の多い自営業者やフリーランスにとっては、国民年金基金に加入して配偶者の分も負担する方が、より多くの所得控除を受けられる可能性があります。

    万が一の際に遺族にお金を残せる

    国民年金基金では、万が一の際に遺族一時金が支給される点もメリットです。被保険者が年金受取前または保証期間中に亡くなった場合、掛金に応じた一時金が遺族に支払われるため、遺族の生活資金の心配を軽減できます。

    さらに、遺族一時金は原則非課税のため、相続税を気にする必要もありません。

    ※:保証期間のない「終身年金B型」は遺族一時金の対象外。終身年金B型では年金受給前の死亡で遺族に1万円が支給される。(全国国民年金基金「よくあるご質問(給付に関して)」参照)

    国民年金基金は何年で元が取れる?損益分岐点のシミュレーション

    国民年金基金に加入した場合、いつになったら元が取れるのかを知りたい人は多いでしょう。ここでは、終身年金A型を1口かけた場合の損益分岐点を加入年齢別・性別にまとめました。

    年齢・性別掛金月額
    (円)
    納付期間※1納付総額
    (円)
    年金月額※2
    (円)
    損益分岐点※2
    20歳
    男性
    7,46040年約358万2万79歳
    11ヶ月
    20歳
    女性
    8,650約415万82歳
    4ヶ月
    30歳
    男性
    10,90030年約392万81歳
    4ヶ月
    30歳
    女性
    12,620約454万83歳
    11ヶ月
    40歳
    男性
    13,51520年約324万1.5万83歳
    0ヶ月
    40歳
    女性
    15,660約376万85歳
    11ヶ月

    ※1:60歳まで納付した場合
    ※2:65歳から年金を受け取った場合
    参照:全国国民年金基金「掛金月額表

    上表は掛金が所得控除になる税制優遇を考慮していないため、税制優遇を踏まえたうえでの損益分岐点はより早くなることが推測されます。

    また、加入年齢や年金タイプ・口数(掛金)によって損益分岐点が異なるため、誰もが上表の年月で元が取れるわけではありません。例えば、1口目に保証期間のない終身年金B型を選べば毎月の掛金を抑えられるため、損益分岐点に達する年月はより少なくなります。

    いずれにせよ、どの年代においても男性の方が女性より元を取るまでの期間が早く、加入年齢が早い方が受取開始から短い期間で損益分岐点に達します。

    ただし、何年で元が取れるかを重視しすぎるのも良くないです。現在の資産状況や自身が必要な老後資金を計算したうえで、ニーズに合う年金タイプ・口数を選択することが大切になるでしょう。

    まとめ

    本記事では、国民年金基金に入ってはいけないと言われる理由や加入メリット、損益分岐点について解説しました。

    国民年金基金は、受け取る年金額を増やせる第1号被保険者向けの制度です。任意解約できない点やインフレリスクがあることから、入ってはいけないとも一部では言われています。

    一方で、掛金が全額所得控除という節税効果を期待できるうえ、堅実に老後資金を備えられるというメリットもあります。

    入ってはいけないという声を鵜呑みにせず、メリット・デメリットを理解したうえで加入するかを判断することが大切です。

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